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THEE MOVIE
年が明けて、早10日も経ってしまいましたが(汗)、今年最初の更新です。あけましておめでとうございます。更新ペースがほんとに遅いブログですが、読みに来てくださっている皆様、いつもありがとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて、今年最初の更新ですが、スカパラの話題じゃありません(汗)。だって、まだ「流星とバラード」のPV、ちゃんと見れてないんですもの。スカパラではなくて、ミッシェルガンエレファントの話。三連休初日の昨日、映画を見に行ってきたのです。 夏にライブを見に行った indigo jam unitがまた福岡に来るので、この日、そのライブに行くというのは、結構前から決めていました。また、偶然、ミッシェルガンエレファントの映画「ミッシェルガンエレファント“THE MOVIE”-LAST HEAVEN0031011-」の福岡での封切り日がその日だったので、せっかく福岡に行くのだから、1日でいっぺんに行ってしまおうと。 indigo jam unitのライブは素晴らしかったですが、その話はまたのちほど。 以下、映画のネタバレになる上に長いので、隠します。 映画は、博多駅すぐ近くの映画館「シネ・リーブル博多駅」というところで上映されました。福岡ではここでしか上映されないし、公開期間が2週間しかないので、今日を逃すともう見られないかも、と思ってこの日にしました。シアター数は2つなんですが、上映されたのはシアター2のほうで、客席が57席しかない小さな部屋でした。満員でしたね。でも、この日が初日で、しかも私が見たのは13時45分始まりの、初演だったので、平日だと空いてるかもしれない。それより、初日の初演に行くって、どれだけファンだよ私、って自分でちょっと思ったんですけど、この日が都合よかったんで、仕方がないですね(笑)。お客さんは、年齢層は20代初めくらいの人から、後は男女年代バラバラ、って感じでした。私みたいに1人で来てる人も多かったです。 映画の内容は、ミッシェルガンエレファントのラストライブ、2003年10月11日幕張メッセでの公演をドキュメントタッチで編集したもの、と聞いていたのですが、その日の様子だけでなく、過去のライブ映像やインタビューも織り交ぜて作られていました。ライブそのまま、みたいなのを想像してたんですが、思ったより映画らしいつくりでした。 音がすごかった。ミッシェルは爆音バンドなので、ホントのライブはこんなもんじゃなかったのかもしれませんが、インタビューからライブ映像に戻ったときに、音の大きさに一瞬びくっとなってしまうくらい。幕張のライブ音は、フロアで聴いていたらこんなだったのかもな、という臨場感がありました。客席の声をすごく拾ってた。あと、会場が大きいので音が反響してしまうのか、チバの歌声が遅れがちに聴こえる。速い曲になると、ギターとベースとボーカルの音が団子状に絡まって聴こえたりもしました。でも、それも含めて「あの日の音」って感じがしました。たぶんDVDとかだともっとキレイに録れてると思うんですけど、この映画にはこの音でなければいけなかったのだろう、と。 感想は…。一言で言うと、「壮絶」でした。あれだけの力があるバンドが、自分たちの手でバンドを終らせようとしているライブですから、メンバーの表情がなんとも凄みがあって。怖い顔をしているってわけじゃないんですが、涙を堪えようとしているのか口をへの字にしてドラムを叩くキュウちゃんとか、ウエノの目が濡れて光って見えるのとか、ずうっと、遠いところを見るようにしてギターを弾くアベとか…。チバの表情は、このとき前髪が長いせいもあってよく見えないんですが、全身全霊を傾けて、って言葉が大げさじゃないくらい、迫力のあるボーカルでした。 思ったのは、ミッシェルって真面目なバンドだったんだなっていうことでした。だって、ちゃんと「自分たちは解散します」ということを明示したうえでツアーを行って、そのラストは、なるべく多くのお客さんが来られるように、すごく大きな会場でライブをやった。これ、結構キツいことだと思うんですよ。お客さんはたぶん皆「解散しないで!」って思ってるわけで、その思いが各会場で、ステージに向かってぶわっとぶつけられてくる。最後の幕張なんて3万7千人ですから、その人数の悲しみの情念は、すごいものがあると思うんです。加えて、もちろんバンドを終らせることへの、自分たち自身の悲しみもある。それを受け止めてライブをやるのは、エネルギーが要ったと思うし、苦しいことだったと思う。ステージ上のメンバーの表情や、楽器を鳴らし歌う姿からは、そういうことを全部引き受けた上で、その悲しみや寂しさも全部、演奏に注ぎ込もうという意思が感じられました。 たぶん、このときだけじゃなくて、ミッシェルはずっと真面目なバンドだったんだと思います。過去の映像の中で、1998年のアリーナツアーのときに、仙台でお客さんのジャンプで会場が揺れて、このままだと照明器具が落ちてきて大事故になるので、やむなくライブを中止する場面があります。このとき、舞台裏でスタッフから説明を受けているメンバーは、4人とも真剣な顔で、どうしてもダメなのか、このライブの振り替えはできるのか、その告知はどうするのか、と真剣に訊いて確認しています。そして、「ちゃんと説明をしなくちゃ。」と4人揃ってもういちどステージに出て、状況を説明し、「申し訳ない」とお客さんの前で頭を下げます。状況を説明するチバの言葉はつたなかったけど、「せっかくきてくれたお前らの中から、死人とか怪我人とか出すわけにはいかねえんだ。」という言葉には、不器用ながらも愛情を感じました。そのあと、舞台裏の廊下で、落ち込んでへたり込んでしまっているチバの姿が映って、そこは涙が出そうになりました。大丈夫だよ、お客さんみんな、ちゃんと分かってくれてるよ、そんなに傷つかなくていいんだよ、と、彼を抱え起こして連れて行くスタッフさんになって、言ってあげたくなりました。 ラストライブの最後の曲は、デビュー曲「世界の終わり」。最後の力とばかりに、振り絞るようにして演奏するメンバーの姿は、言葉が見つからないくらい、印象的でした。チバの声は枯れて、アベのギターの弦は切れてしまった。そして最後のギターの残響が響く中、アベがかすかに笑って言います。 「ありがとう。」 とても静かな、乱れのない、真情のこもった優しい声と表情でした。私はここで涙腺が決壊してしまったんですが、シアターからあちこちからグスグスいう音が聞こえました。死んでしまった、いなくなった人からの言葉だと、やっと実感として沸いてきた感じでした。 映画が終って、シアターから出てくるひとたちの中には目を赤くしている人が多くいて、私も同じような目をしていたんだろうから、なんとなく親近感が沸きました。 観るのにエネルギーがいる映画です。ステージ上のメンバーが、お客さんが放出しているエネルギーと情感がすごいので、それにあてられてしまいます。しかも、それは何かを始めるためのエネルギーではなく、終らせるためのエネルギー、言ってみれば悲しいエネルギーです。観終わった後、楽しい気分にはなれないと思います。正直、もう一回見る気力は、今は私にはありません。 でも、観終わった後に、妙に腹の据わった気分になりました。アベは死んでしまった。ミッシェルは永久に終ってしまった。でも、私は、生きて、今音楽を楽しむんだ。ミッシェルも含め、今まで聴いてきた音楽と、これから生まれる音楽と一緒に、これからも生きていくんだ。そういう気分になりました。 ミッシェルガンエレファントというバンドを知らない人でも、音楽が好きな人なら、観たら何かを感じられる映画ではないかと、そう思います。
by tomoe0204
| 2010-01-10 11:58
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